英文契約書は、難しい単語を無限に覚える文章ではありません。義務、権利、条件、例外、終了という定型の部品が繰り返されます。単語を日本語に置き換える前に、条項が何を決めているかを見抜くと読みやすくなります。
shallは義務の標識
助動詞を見つけたら、主語・動詞・対象・期限を四つの欄に書き出します。may は許可や裁量、shall は契約上の義務を示すことが多いものの、定義条項や文書全体の用法が優先されます。単語だけでなく、条項の役割と相手方の行為を確認します。
契約書の The Supplier shall deliver the goods... は、Supplierの義務を示します。日常英語の未来を表すshallとは役割が違います。may は許可や裁量、must は強い義務ですが、契約では文書全体の定義を確認します。助動詞を見つけたら、誰が何をしなければならないかを主語と動詞で言い直します。
herebyとthereof
hereby は契約書上の行為をその場で行う語、thereof は直前に示されたものの一部・関係を指す語です。参照語を見つけたら、段落の前に戻って先行詞を角括弧で囲みます。英語のまま参照関係を確認してから日本語にすると、曖昧な「それ」「これ」の連続を避けられます。
hereby は「本契約により」「ここに」と、文書上の行為を示します。thereof, thereto, thereunder は、それぞれ直前の名詞との関係を短く書く語です。すぐに日本語訳を決めず、thereunder が「その契約の下で」なのか「その条項の下で」なのか、参照先を探します。
条件と例外を先に囲む
subject to は「〜を条件として」、provided that は「ただし〜の場合」と、主文に制限を加えます。条件節を括弧に入れてから、主文だけを一度訳し、最後に条件を戻すと、例外の範囲を取り違えにくくなります。
subject to, provided that, except as otherwise provided が出たら、条件・ただし書きを括ります。本文の主語と義務を先に見つけ、例外がどの範囲を修正しているかを確認します。長い一文でも、義務・条件・期限の三つに分ければ、翻訳者に丸投げせず概要を説明できます。
条件が複数ある場合は、andとorの関係も確認します。どちらか一方でよいのか、すべて満たす必要があるのかで義務の範囲が変わります。接続詞を丸で囲み、条件を箇条書きにしてから全文の意味をまとめます。
終了と違反
terminate は契約を終了させる、breach は違反する、cure は違反を是正するという意味です。notice(通知)、material breach(重大な違反)、liability(責任)も頻出します。法律英語は単語単体ではなく、terminate for convenience のような組み合わせで覚えます。Kokeniwaの法律英単語と法律英語の基礎記事を往復してください。
終了条項では、誰が通知できるか、何日前に知らせるか、終了後も残る義務は何かを分けます。survive termination は契約終了後も効力が残る条項を示すため、終了という一語だけで全てが消えると考えないことが重要です。
条項を読む順番
最初に当事者と対象を確認し、次に義務を表す助動詞、期限、条件、例外の順に印を付けます。within 30 days は期限、unless や provided that は例外、in accordance with は準拠する基準です。訳語を先に決めると、例外が義務全体にかかるのか一部にかかるのかを見落とします。
頻出の組み合わせ
enter into an agreement は契約を締結する、comply with applicable laws は適用法令を遵守する、indemnify and hold harmless は補償し責任を負わせない、というように、法律英語は語の組み合わせで意味が固まります。単語カードには日本語一語ではなく、主語と動詞を含む短い条文を保存します。
定義語と大文字
契約書で大文字になっている Services, Confidential Information, Effective Date などは、冒頭の定義条項で特別な意味を持つことがあります。一般辞書の意味を当てはめる前に、同じ語が定義されている箇所へ戻ります。
学習時の注意
法律英語の説明は読解学習を目的にし、実際の契約判断や法的助言とは分けて扱います。国や契約類型によって解釈が変わるため、実務では専門家と文書全体を確認してください。
学習用の例文でも、条項の主語・義務・例外・期限を必ず確認します。訳が一つに決まらない場合は、候補を並べて文書全体の定義と整合する方を選びます。
